『紅の豚』では、物語のはじめから主人公のポルコが豚である状態からスタートします。

 

しかもお話全般にわたって、その理由がはっきりせず、人間の姿に戻ることがないまま終わりを迎えることになります。

 

しかしながら、一時的にではありますが、人間に戻ったり、その頃の写真が作中で明らかになっているので、その画像を確認しつつ、その理由を検討したいと思います。

ポルコが人間に戻ったときの画像について

ポルコ

 

『紅の豚』の主人公となるポルコ・パゴットは、物語の終始において豚のままであり続けることになります。

 

しかしながら、物語が始める前の頃のシーンで、ポルコが人であったシーンが登場します。

 

ジーナが店に飾ってある写真であったり、ポルコ自身が語る回想がそれに当たります。

 

人間の頃の写真

 

写真の中で、斜線で顔が隠れている人物こそ、人間のポルコになります。

 

その隣にいる若かりしジーナやかつての仲間の姿を見ると相当前の写真になりましょう。

 

『紅の豚』は、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の頃を想定していて、ポルコ自身、イタリア空軍のエースであったりします。

 

イタリアは勝利したものの、戦友は戦死し、ポルコのみが生き残ることになりました。

 

その懐かしき思い出の写真は、ポルコの生きざまを収める貴重な物証と言えるでしょう。

 

ポルコが人間を捨て、豚になった理由について

人間から豚へ

 

さてポルコが豚になった理由ですが、様々な説がありますが、最も有力なのは戦争になります。

 

つまり戦争への忌諱から、自身に魔法をかけてポルコが豚になったというものです。

 

前述のように、仲間が戦死するものの、自分だけが生き延びることになってしまったことやその時代への憤りようなものがあったことは確かでしょう。

 

作中で、ポルコが口にしたセリフで、それをうかがわせるものがいくつもありますが、その中でも3つほど印象的なものが以下の通りです。

 

豚に国も法律もねえよ

ファシストになるより、豚の方がマシさ

そういうことはな、人間同士でやりな

 

第一次世界大戦後は、ドイツがナチスに取り込まれつつあると同時に、イタリアではムッソリーニをはじめとするファシスト党が力を増しつつある状況です。

 

戦争はもとより、戦後でも人間における争いは絶えることがなかったことは明らかでしょう。

 

もしそれらを完全に断とうとするのであれば、もはや人間ではいられないことの暗示と考えられます。

 

さて、人間から豚になる魔法というのは、ジーナがポルコとの会話中に出てきた言葉で、これが比喩なのか、また本当に魔法のようなものがあるかは、定かではありません。

 

また回想以外で、ほんの僅かではありますが、ポルコが人間の姿に戻るシーンがありますが、すぐに豚に戻ってしまうので、その点はとにかく謎が多いでしょう。

 

世界観的にはかなりリアルさを追求したもので、ファンタジー要素となるポルコにかかった魔法こそが、まさに異端さが伺えます。

 

豚のままで物語を終えることになりましたが、想像するに、生涯ずっと豚であり続けたのだろうと思います。

 

ただし、悪い意味ではなく、人間の争い事から距離をとり、史実の第二次世界大戦にはかかわらずにずっと平穏に暮らしたのだろと。

 

人間に戻ることが必ずしもハッピーエンドになり得ないというのは、深みがあり、ジブリらしさが出ていると感じますが、それぞれ胸中に抱くものがあるでしょう。