ジブリの名作の一つを飾る、『紅の豚』がありますが、当時その映画をPRする際に使われたキャッチコピーに「カッコイイとは、こういうことさ。」という文言で周知を図ったことで、事前の段階で大いに話題になったでしょう。

 

実際の映画でも、主人公のポルコのかっこいい姿は、同じ世代の中高年の層の人たちに大きな刺激にもなったことでしょう。

 

物語全般が、子供向けというよりも大人のためのアニメに近いものになりますが、世代を超えてのかっこいいが凝縮された作品となりましょう。

ポルコのかっこいい姿とは!?

人間から豚へ

 

アニメ映画では非常に珍しい中年男性(豚)を主人公にしたものになります。

 

「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」というテーマで製作されたこともあり、まさしくそうした年代の人に視聴してもらいたかったものでしょう。

 

おそらく、昔のようなかっこいい姿を取り戻してほしいという考えがあったのだろうと思います。

 

さて、最近の主流はやはり中学生もしくは高校生が主人公といった青春真っ盛りの物語となり、恋愛要素も絡み、それはそれの良さがあることは確かです。

 

しかしながら、年代ごとにそれぞれのステージがあり、30代なら30代、40代なら40代でしか出せない味というものがあるでしょう。

 

『紅の豚』は、それを教えてくれる教材のようなもので、年齢的に魅力が落ち、精力的な活動が出来なくなりつつある中で、振り絞れるかっこいい姿というものがあります。

 

姿というのは、仕草であったりセリフであったり、雰囲気そのものだったりします。

 

かっこいいと思えるシーンについて

かっこいいシーン

 

子供では出せない大人ならでは、がびっしり詰まった『紅の豚』ですが、管理的にかっこいいと思えるシーンについて取り上げます。

 

まず本作の名場面となるところで、ポルコがジーンに投げかける箇所です。

 

飛ばねぇ豚はただの豚

 

「飛ばねぇ豚はただの豚だ」とのセリフが光る箇所ですが、中年男性であれば、かっこいい決め台詞的な何かを持っていると、生きた証のようなものがにじみ出てくるのではないでしょうか。

 

これが中高生でやると、ここまでの迫力は出せないように思います。

 

続きまして、フィオとのやりとりの場面です。

 

アニメ設計図

 

飛行機の再設計しているフィオへ、ポルコがアドバイスをするところになります。

 

ただのパイロットだけでなく、飛行機の詳しい知識を有する若い主人公では成し得ない優れたキャリアやインスピレーションが伺えます。

 

人間味のあるところが、おそらく年代、世代を超えてかっこいい言えるでしょう。

 

声優の声も渋みがあり、重みが伝わってきます。

 

また同時にちょっとした可愛さをうかがわせるセリフ、「徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ。それに美容にも良くねぇ」も深さがあっていいでしょう。

 

続いて決戦前夜のポルコが人間の頃を話す貴重な場面。

 

業の深さがうかがえる戦争の悲惨さが伝わってくる場面ながら、最後のフィオのキスで締めという面白い構成です。

 

キスシーン

 

このポルコは、この年齢まで独身を続けていることからも、こうした色恋沙汰には弱かったりします。

 

10代の年端も行かぬ少女にこうしたところに負けてしまうというのは、なかなか現実味があるなと感じるところです。

 

しかしながら男というものは、そういうものと潔さも見受けられることからも、かっこいい場面として紹介しました。

 

物語の佳境にさしかかる最終決戦が始まります。

 

カーチスはマシンガンで攻撃してくるのに対し、ポルコは防戦一方でのファイトが続きます。

 

殺しはしない

 

これには理由があり、ポルコの過去の戦争から、もう殺しはしないという意志が見受けられるでしょう。

 

若い人には演出しにくい生きざまというものがあることがわかる非常に貴重な作品でしょう。

 

そしてカーチスとの最終決戦は、飛行機では決着がつかなかったことから、殴り合いでの勝負へ移行。

 

殴り合い

 

今の若い人間では、こうしたことはまずないと言えるでしょう。

 

スマートではにはないかもしれませんが、だからこそ言葉にしにくいものの、奥行きがあったり、懐の深さがあるように思えます。

 

こうした人生が一回でもあると違うでしょうし、こうしたかっこいい波乱万丈さも悪くないでしょう。

 

そして最後の最後に、これまで付き添ってきたフィオとのお別れです。

 

カーチスとの殴り合いで、顔面が凸凹していますが、一種の勲章として、見ることができるのではないでしょうか。

 

別れ

 

物語の終点地点でのシーンなので、とにかく印象に残りやすいところでしょう。

 

きっぱりとかっこいいとは言い難いかもしれませんが、こうした決闘後のヒロイン(サブヒロイン)との邂逅は、映画だけでなく、物語全般の見どころでしょう。

 

名作とされるほどの出来栄えとなる『紅の豚』は、後世に残り続けることになりましょうが、おそらく今や古いタイプの、かっこいい中年を思い起こせるものになろうかと思います。