堀辰雄先生の小説が原作となる『風立ちぬ』ですが、その文法の捉え方を紹介したいと思います。

 

また同時に風立ちぬ、というような使いまわしは、およそされないと思いますが、果たしてどういう意味を持つのかも触れていきます。

『風立ちぬ』の意味は何か!?

風立ちぬ

 

まず『風立ちぬ』の意味ですが、結論から申し上げると「風が起きた」という訳に相当します。

 

文法的に非常に古い言い回しのように思えますが、実はこれには深い意味が隠されています。

 

この『風立ちぬ』のタイトルになった背景には、堀辰雄先生の小説の一節、「風立ちぬ、いざ生きめやも」という文章に強く影響されます。

 

この「風立ちぬ、いざ生きめやも」は作中で繰り返し使われる言葉となり、いわばテーマとなります。

 

さて、その一節は、フランスの作家、詩人であるポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』での、「Le vent se lève, il faut tenter de vivre」を和訳したものと言われています。

 

全体としての意味は、「風が起きた、生きることを試みねばならない」となります。

 

『風立ちぬ』を文法的にとらえると。

生きねば

 

堀辰雄先生の『風立ちぬ』の小説が敢行されたのが、1938年と古いことから、文法としても、今の現代社会ではまず用いないものと思います。

 

詳しく品詞に分けると、名詞「風」と動詞「立つ」に分けられ、そして「立つ」を連用形にして、完了の助動詞「ぬ」を加えて、「風が立った」という意味となります。

 

高校の古文で履修して理解できるレベルと思われますが、なかなかパッと意味を理解できるというのは難しいでしょう。

 

しかしながら、その反面、タイトルに深みが増すことになります。

 

本編では、結核を患う菜穂子が、だんだんとひどくなっていき、余命が僅かとなっている中、生きる希望が失われつつありながらも、堀越二郎と共に過ごすことで、「いざ、生きめやも」つまり「生きることを試みねばならない」と感情的な変化が見て取れます。

 

本来この言葉には暗い意味が隠されていて、「いざ、生きめやも」を品詞分解すると、そのことがわかることになります。

 

動詞「生きめ」と助詞「やも」となり、「生きめ」は意思の助動詞「む」の已然形が加わったもので、「やも」は反語の助詞で、「~か、いや~ではない」という意味になります。

 

「さあ、生きていこうか、いや死のう」という未来への失望が見え隠れします。

 

しかし作中にある通り、堀越二郎と共にすることで、菜穂子は、積極的な意味での生を望むことが浮き彫りとなるでしょう。

 

よってそれを凝縮した『風立ちぬ』というタイトルは、なかなかに深い意味を持っていると言えるのではないでしょうか。